彼の顔は全面に焦りが現れていて、一叶ちゃんと電話がつながった様子はない。
唇を噛みながら耳からスマホを離した辰見くんは、私たちに震えた固い声で告げた。
「一叶と、連絡が取れない……」
それはつまり、取り巻き三人の言っていたとおり一叶ちゃんは今邑本先輩と一緒にいて、どこかに連れて行かれているって可能性が高い。
その判断をいち早くした透里が、すぐにどうすべきか指示を出しはじめる。
「なら、俺と辰見は学園内で聞き込みだ。あやめは一旦家に戻ってマロに探させてみてくれ」
的確な指示に、『うん!』と返事をしようとしたとき。
「辰見くん! 津嶋さんが――」
焦りをにじませた男子の声が辰見くんを呼び、近づいてきた。
でも、その男子――松田くんは、私の姿を見てためらいを見せる。
「鴇野さん……」
なにやら一叶ちゃんのことを知っている様子の松田くんは、私を警戒してか続きを話してくれない。
私が一叶ちゃんをいじめているって思われてるから仕方ないんだけれど、今はそんなのどうだっていいから教えてー!!
私と同じいらだちは透里も感じたんだろう。ためらう松田くんに、怒鳴りつけるような言い方で先をうながした。
唇を噛みながら耳からスマホを離した辰見くんは、私たちに震えた固い声で告げた。
「一叶と、連絡が取れない……」
それはつまり、取り巻き三人の言っていたとおり一叶ちゃんは今邑本先輩と一緒にいて、どこかに連れて行かれているって可能性が高い。
その判断をいち早くした透里が、すぐにどうすべきか指示を出しはじめる。
「なら、俺と辰見は学園内で聞き込みだ。あやめは一旦家に戻ってマロに探させてみてくれ」
的確な指示に、『うん!』と返事をしようとしたとき。
「辰見くん! 津嶋さんが――」
焦りをにじませた男子の声が辰見くんを呼び、近づいてきた。
でも、その男子――松田くんは、私の姿を見てためらいを見せる。
「鴇野さん……」
なにやら一叶ちゃんのことを知っている様子の松田くんは、私を警戒してか続きを話してくれない。
私が一叶ちゃんをいじめているって思われてるから仕方ないんだけれど、今はそんなのどうだっていいから教えてー!!
私と同じいらだちは透里も感じたんだろう。ためらう松田くんに、怒鳴りつけるような言い方で先をうながした。



