「邑本先輩、津嶋さんは辰見くんのそばにいてはダメな人だって言ってたから、きっと二人を別れさせてくれると思うんです」
「だから大丈夫ですよ!」
「邑本先輩、ちょっと悪いお友だちもいるらしくて……最悪その人たちに協力してもらうとか言ってましたから!」
「っ!」

 得意げに話す三人の話を聞いて、私はガタン! と大きな音を立ててイスから立ち上がった。
 三人も、教室に残っていたクラスメイトたちも驚いて私に注目する。

 今の話を聞いた直後に教室を飛び出したら、一叶ちゃんをいじめている悪女としてはおかしな行動かもしれない。
 それはわかっているけれど、三人の話が本当なら悠長なことを言っていられないよ。

 悪女の演技よりも大事な任務だ。

 一叶ちゃんを守らないと!

「あ、あやめさん?」

 どうしたのか、と戸惑いの声で私を呼ぶアイを見もせず、私は教室を飛び出した。

***

 一叶ちゃんと邑本先輩が今どこにいるのかはわからない。
 とりあえず可能性のありそうなところ、と思って写真部の部室に向かったけれど、そこに二人はいなかった。