シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

「わかってないなぁ二人とも。人の好みは千差万別(せんさばんべつ)なんだぞ。辰見哩都のファンが全員彼をドンピシャで好み! って思っているわけじゃない」
「それは、たしかに……」

 創士さんの説明には納得できたのでうなずいた。アイドルのファンとかでもそうだけれど、それぞれ推しに向ける熱量はちがうもんね。

「そういう所に、部分的には似ているけれど違うタイプのイケメンを置くと、そっちの方がより好みだ! って子が出てくるんだよ」
「ああ、そういうことか。完全に分散させたいならタイプは違う方がいいってことですね」
「そういうこと」

 透里の納得の言葉に創士さんは笑顔でうなずいた。
 そして軽く手をたたく。

「とりあえず初日は問題無さそうだな。明日からも引き続き作戦を遂行(すいこう)してくれ」

 上司として話をまとめた創士さんに、私と透里は『はい!』と声をそろえた。