基本的には学園への潜入で、津嶋のストーカーを探るだけのミッションだから危険は少ない。
 それに、同じ学園に通うためにあやめと同じ家に住むことになった。

 こんなチャンス、二度とないかもしれない。

 そう思ったせいか、ちょっと焦りすぎたみたいだ。

 あやめに『近すぎて困る』なんて言われてしまった。いきなり距離を近づけすぎたかな? って反省した。
 だから一旦距離を置いてたんだけど……。

「まさか、あやめの方からそばにいてほしいって言ってくれるなんてな」

 すんなりと出てきた言葉に、一瞬演技してるのかって疑いそうになった。けど、まっすぐ俺を見るあやめの目には揺らぐ感情が見えていたから。
 その言葉があやめの本心なんだってわかったあの瞬間、俺がどんなにうれしかったかあやめは知らないだろう。

 こうして思い出すだけで鼓動が早くなる。
 ドキドキと胸が高鳴って、喜びがあふれてくる。

 あやめは、俺にとって光みたいなものなんだ。
 そばにいてほしいのは、俺の方。


 俺は、ずっと、ずっと……あやめのことが大好きなんだ。