シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

「あやめ、そういう先入観はない方がいい」

 かなり厳しめな言い方だったから、思わず背筋が伸びた。

「人は見た目によらないって言うけれど、あれ本当だからな? 特に今回みたいなストーカーの場合、内面の性格が原因になる。内面なんて、隠そうと思えばいくらでも隠せるんだから、見た目や外面のイメージで決めつけるのは危険だぞ?」
「う……はい、わかりました」

 創士さんの言うことはもっともで、私が間違っていたことがわかった。先入観をなくすのは大変だけど、もっとフラットな考え方をするようにしないとだね。

 私が納得したのを見て、創士さんは透里の方も見て話をまとめる。

「そういうことなら、邑本くんと松田くん両方を引き続き注意して見ていた方がいいな。二人とも、それで頼む」
「はい」
「わかりました」

***

 報告が終わって、なんとなく透里と一緒に部屋の方に戻る。

 私の部屋近くまで来てから、そういえばこうして透里と一緒になるのは久しぶりなことに気づいた。
 はじめは私が避けていたし、最近は透里が私を避けていたから。

 珍しいこの機会、逃す手はないんじゃない?

 そう思った私は、自分の部屋の前についたと同時に透里を見た。
 でも、先に口を開いたのは透里の方だった。