「やっぱり、ストーカーは松田くんだよ!」

 あの後早々に家へ帰り、先にシャワーを浴びた私は部屋着姿で報告をしていた。
 確信を持って水をかけられたときの状況を話したけれど、隣に座る透里はあごに手をそえて「うーん」とうなった。

「たしかに一番あやしいんだけど……あの窓の近くは写真部の部室があるんだ。その時間なら、部長の邑本先輩も確実にいたと思う」

 だから、ストーカーの正体が邑本先輩である可能性も捨て切れないって透里は言う。

 可能性がある以上疑いをなくすわけにはいかないのはわかるけれど……でもちょっと考えすぎじゃないかな?
 と、被害を受けた身としては思う。

 だって、私に水をかけたっぽい松田くんの姿を私はしっかり見ているから。

「でも私が見たのはたしかに松田くんだったし……そんなにその邑本先輩もあやしい感じなの?」

 透里が可能性を捨てきれない理由が他にもあるのかな? と思って聞いてみる。
 でも、透里の話す邑本先輩の人物像はストーカーというイメージにはまったく合わなかった。

「いや、邑本先輩はいい先輩だよ。部員の相談にも乗ってくれるし、明るくて人気もあるから……結構モテるんじゃないかな?」
「なにそれ。ストーカーのイメージと真逆なんだけど」

 想像とはまったく違う様子に、私はつい思ったままのことを口にした。
 すると、今まで黙って報告を聞いていた創士さんが私をたしなめるように言う。