シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

「よし、まずは予定通りだな。透里、そっちはどうだ?」

 私の報告に満足そうにうなずいた創士さんは、続けて透里に聞いた。

「俺の方は眼鏡かけて女子にそっけなくするだけだから特に問題はないですね。ざっと見た感じ、一応『クールでカッコイイ』って評価はされているみたいでしたけど……これで本当に辰見のファンが推しを俺に変えるんですか?」

 透里は問題ないという報告をしたものの、作戦に疑問があるのか後半は首をかしげていた。

「辰見って見た目も中身もザ・プリンス! って感じのタイプでしょう? 外見はともかく、女子にそっけないクールな男子って真逆じゃないですか?」
「あ、それは私も思ってました。透里なら外見はクリアしてるし、王子様っぽい演技もできるから、辰見くんのファンを分散させるなら似たタイプにした方がいいんじゃないかって」

 透里の疑問に私も同意する。違うタイプだと辰見くんを好きって言ってる女子たちは見向きもしないんじゃないかな?

 透里と二人そろって首をかしげると、創士さんは右手の人差し指を立てて「チッチッチ」と言いながら振る。