シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

「大丈夫だよ。私、フツウの中学生じゃないからね」

 心配ご無用! とばかりに笑みを浮かべると、ちょうど保健室のドアがコンコンとノックされる。ゆっくり開かれたドアからは、柔らかそうな金色の髪が見えた。
 私たちの姿を見て入ってきたその人は、眼鏡を外しながら近づいてくる。

「やっぱりここにいたのか。なにかあったのか?」
「いやいや! 透里こそなんでこんなところにいるの!?」

 そう、保健室の中に入ってきたのは私たちとはクラスがちがうはずの透里だ。
 今はまだ授業中だから、体調が悪くなったわけでもないなら保健室に来るわけがない。

「教室からグラウンド見えるだろ? こっちは自習だったし、ちょっと抜けてきたんだ」

 この場に現れた理由を話してくれた透里は、「それで?」と私たちになにがあったのかの説明を求めた。

 私が簡単に経緯を説明して、今朝一叶ちゃんのシューズロッカーに入っていた手紙のことを話すと、透里はあごに指を当てながら「そうか……」と考えるそぶりを見せる。

「それじゃあストーカーは、津嶋さんが登校するより前に来ていた写真部の生徒ってことになるな」
「昨日の帰りに入れた可能性は?」

 私が問いかけると、透里は「いいや」と首を横に振った。

「昨日の写真部は校外での写真撮影だったんだ。注目していた五人は全員参加してたし、後で学園に戻った様子も無かった。だから今朝なのは確かだ」
「そうなんだ」
「ああ、かなり絞れてきた」

 どうやらストーカーの特定に一歩近づけたらしい。