***
連れられてきた保健室には誰もいなかった。
保健室の先生は職員室で仕事をしていると入り口に表示があったし、他に休んでいる生徒もいないのかベッドのカーテンも全て開けられている。
校内で一番清潔にたもたれている部屋に辰見くんと二人きりになると、私はすぐに口を開いた。
「で? どうしたの? 私になにか話があるんでしょ?」
いくらケガをしているといっても、人の手を借りなきゃいけないほどのケガじゃない。それなのにわざわざ一緒に来たんだもん。なにか別の用事があるに決まってる。
案の定、辰見くんは少しおどろいた表情をしてから「その通りだよ」と答えた。
「君に伝えておきたいことがあったからね。……実は今朝、一叶のシューズロッカーに手紙が入っていたんだ。無記名で『君を害する女には制裁を』って一文だけの手紙が」
「それは、例の?」
問い返したけれど、答えはわかりきってる。
一叶ちゃんのストーカーからの手紙だ。
「うん。だから、鴇野さんが危ない目に遭わないかって一叶が心配してたんだ」
もちろん僕も、と付け加えた辰見くんに、私は胸が温かくなった。
「一叶ちゃんも辰見くんも、優しいね」
優しくて、素敵な二人。
絶対に幸せになってもらいたいって思った。
連れられてきた保健室には誰もいなかった。
保健室の先生は職員室で仕事をしていると入り口に表示があったし、他に休んでいる生徒もいないのかベッドのカーテンも全て開けられている。
校内で一番清潔にたもたれている部屋に辰見くんと二人きりになると、私はすぐに口を開いた。
「で? どうしたの? 私になにか話があるんでしょ?」
いくらケガをしているといっても、人の手を借りなきゃいけないほどのケガじゃない。それなのにわざわざ一緒に来たんだもん。なにか別の用事があるに決まってる。
案の定、辰見くんは少しおどろいた表情をしてから「その通りだよ」と答えた。
「君に伝えておきたいことがあったからね。……実は今朝、一叶のシューズロッカーに手紙が入っていたんだ。無記名で『君を害する女には制裁を』って一文だけの手紙が」
「それは、例の?」
問い返したけれど、答えはわかりきってる。
一叶ちゃんのストーカーからの手紙だ。
「うん。だから、鴇野さんが危ない目に遭わないかって一叶が心配してたんだ」
もちろん僕も、と付け加えた辰見くんに、私は胸が温かくなった。
「一叶ちゃんも辰見くんも、優しいね」
優しくて、素敵な二人。
絶対に幸せになってもらいたいって思った。



