シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

 辰見くんと二人きりで楽しそうだったっていうのは、放課後校庭で一叶ちゃんがいなくなった後のことだよね?
 透里、校庭からはいなくなってたのにどこかで見てたってこと?

 ううん、それよりも! 私が辰見くんに恋愛感情をもってるかって聞いてきたの!?
 そんなの!

「あるわけないよ! 私の好みはちがうもん!」

 即座に否定する。
 だって、私がずっと好きなのは透里だから。
 いくら透里への恋心に蓋をしていたとしても、他の人を好きなんて誤解はされたくない。
 身を乗り出すくらい強く否定すると、透里はなんだかいじわるな笑みを浮かべた。

「へぇ? じゃあ、どんなやつが好みなんだよ?」
「そ、れは……」

 透里みたいな人、なんて言えるわけがなくて口ごもる。
 明らかに言いづらそうにしているのに、いじわるモードに入ったらしい透里はニヤリと笑ったまま顔を近づけてきた。

 切れ長な目が私をジッと見て、形のいい唇の片端が上がっている。
 ただでさえ美形なのに、その表情には裏で見るときみたいな黒さもちょっと見えて……その顔で迫られるとドキドキしてしまう。

「どうした? 教えろよ。あやめの好みって、どんなやつ?」

 実際に距離も近くなっているのか、視界いっぱいが好きな人の顔で埋まる。