「あ、その……鴇野さん、おはよう」
婚約の正式発表はまだだけれど、小学生のころからつきあっている二人はよくこうして一緒に登校しているらしい。
昨日もそうだったから、辰見くんのことが好きな従姉妹として『いい気にならないで』と忠告したんだ。
だから、今日の対応は昨日よりキツく行かないとならない。
ぎこちなくあいさつをしてきた一叶ちゃんを、私は申し訳なさを厳重に隠して鋭くにらみつけた。
「また一緒に来たの? 車にまで乗せてもらうとか、遠慮ってものを知らないのかしら?」
「そ、れは……」
口ごもる一叶ちゃんに冷たい視線を向けていると、抱きついていた辰見くんの腕が私からはなれた。優しく、でも確かな拒絶をもって。
「一叶に車で一緒に登校しようと言ったのは僕だよ。恋人なんだから、不思議なことじゃないだろう?」
「恋人、ね」
私から離れて一叶ちゃんのそばに行った辰見くんの行動とその言葉に、傷ついた顔を作った私はくやしまぎれという言葉がピッタリ合う声を発した。
「今は、でしょ?」
私の言葉に二人はそろって悲しそうな表情をして、なにも言わずに私を置いて校舎へ向かってしまう。
婚約の正式発表はまだだけれど、小学生のころからつきあっている二人はよくこうして一緒に登校しているらしい。
昨日もそうだったから、辰見くんのことが好きな従姉妹として『いい気にならないで』と忠告したんだ。
だから、今日の対応は昨日よりキツく行かないとならない。
ぎこちなくあいさつをしてきた一叶ちゃんを、私は申し訳なさを厳重に隠して鋭くにらみつけた。
「また一緒に来たの? 車にまで乗せてもらうとか、遠慮ってものを知らないのかしら?」
「そ、れは……」
口ごもる一叶ちゃんに冷たい視線を向けていると、抱きついていた辰見くんの腕が私からはなれた。優しく、でも確かな拒絶をもって。
「一叶に車で一緒に登校しようと言ったのは僕だよ。恋人なんだから、不思議なことじゃないだろう?」
「恋人、ね」
私から離れて一叶ちゃんのそばに行った辰見くんの行動とその言葉に、傷ついた顔を作った私はくやしまぎれという言葉がピッタリ合う声を発した。
「今は、でしょ?」
私の言葉に二人はそろって悲しそうな表情をして、なにも言わずに私を置いて校舎へ向かってしまう。



