シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

 まだ少し濡れている金髪がちょっと色っぽくて、私を見つめてくる空色の目は吸い込まれてしまいそうなほど透き通ってる。
 ドキドキと鼓動が早くなって、透里のほてりが移ったみたいに顔が熱くなってくる。

 そのままあふれそうになる感情を、私は息を止めることで抑えこんだ。

「じゃあ早く風呂入っちゃえよ? ぬるくなっちゃうから」

 最後にフッと笑ってはなれた透里に、私は吐く息と一緒に「うん」とだけ答えた。
 自分の部屋に戻る透里の背中が見えなくなってから、抑えこんでいた感情と共に大きく息を吐く。

 本当に今のは不意打ちだった。
 昔から一緒にいるけれど、あそこまで近づくことはそんなにないから。

 まさか狙ってやって私をからかってるのかな? なんて思うけれど、透里の行動は自然に見えた。
 なにより、私の気持ちを知るわけがないんだから、からかいようもないはずだし。