あの放課後、先生と初恋。





「強制的に退部、させられちゃうかも……っ」


「…なんでだよ。なにかしたのか」


「お母さんのことっ、うちのこと、楽器のこと馬鹿にしてきたから…っ、先生にすごいこと言っちゃった……」


「すごいこと?」


「ば、ババアって……」


「言ったのか」


「……言えなかったから、ババロアになった」


「…………」



視界が揺れる。

こぼれそうで我慢する、そんなものを昨夜から繰り返して今だった。


泣いちゃったら、泣いちゃったらぜんぶ認めることになるから。


それだけはって頑張ってるの。



「…皆木、」



しゃがんだ先生は、見上げてくる。

こんな顔を見せたくなかったからうつむいてたのに、それじゃあ意味ないよ先生。



「おまえは間違ったことをしたのか?生徒としてじゃなく、人として」


「………して、ない」