あの放課後、先生と初恋。





「コンクールメンバーと3年生は明後日から再開ですが、それ以外の1年生と2年生は2日間は通常練習も休みです。しっかり身体を休めてください。お疲れさまでした」


「「「お疲れさまでした!!」」」



駅に向かう生徒、バス停に向かう生徒。

寮へと歩いていく生徒、自転車置き場に走っていく生徒。


わたしはバス組なのだけれど、影を落としながら校舎に戻った。



「合宿おつかれ。どうだった?」



グラウンドからわたしの姿が見えたのだろう。

みんなとは反対方向へと向かっていく、楽器を背負った寂しくて小さな背中が。


生徒たちのサッカー指導を終えたあとなのか、教室に来てくれたジャージ姿の先生。



「……っ」


「…皆木?」



久しぶりの遥人くんだ。
見なくても分かる、今日も格好いいって。

なのにわたしはまた、先生に笑顔を向けることができそうになかった。