どうして他人にここまで言われなくちゃいけないの。
うちのことなんて関係ないでしょ。
たかが顧問ってだけで、こういうところにまでグチグチと口を出してくるの?
「トロンボーンを始めた理由も性格がどうこう言っていたけれど、馬鹿馬鹿しい」
そこでプツンと、わたしのなかの何かが切れてしまった。
「……です」
「え?」
「っ、わたしのことは別になんだって言ってくれていいですっ!!下手でも馬鹿でも……!
でもお母さんをっ、わたしの大切なハルトを馬鹿にしないでよ……っ!!!こんっのパワハラババ………、ババっ、」
ババアはだめ。
ババアは、たぶんダメ。
「っ…、ババロア!!!」
目を丸くさせる顧問を置いて、わたしは勢いよく会議室を飛び出した。
それから部屋に戻って布団にうずくまる。
翌日は和久井先生といっさい目が合うことなく、合宿は終わった。



