あの放課後、先生と初恋。





「にいな、和久井先生が第1会議室に呼んでる」


「えっ、わたし…ですか?」


「うん。こっちのことはやっておくから、行っといで」



それは合宿も最終日の夜。

パートミーティングが終わってそれぞれ部屋に戻るなか、落合先輩はわたしの片付け作業を肩代わりしてくれた。


わたしだけを呼び出しだなんて、どうしてだろう……?



「一応ハルトも持っていきな」



もしかすると個別レッスンをしてくれるかもしれないと、落合先輩はわたしの背中をポンッと押した。



「先輩っ、ちなみに先輩のトロンボーンの名前はやっぱりソーマですか!?」


「っ…、いいから行け!!はやく!!」


「あああっ、はい…!!」



アスランよ!と、見送りながらも伝えられる。

後日談として説明すると、それは落合先輩が幼い頃に飼っていたシベリアンハスキーの名前だという。