あの放課後、先生と初恋。





聞いてるだけで楽しいな、これ。


同い歳なのに今日もずっとみんなは合奏に参加していて、遠い壁を感じていた。

でも今はおなじ場所にいるんだって思える。



「皆木さんは?好きな人とかいる?」


「えっ…、いやあ……、へへ」


「あ、いるねこれ。だれだれ!ぜったいヒミツにするよ!」



ニヤニヤ、むふふ。

考えるだけで笑顔になれるってすごい。


先生はいま何してるのかな。
わたしのこと心配してくれてるかな。


吹奏楽部が合宿に行っているのはもちろん知ってるだろうから。



「イッチーでしょ?」



ズバッと言い当ててしまった、パーカッションをしている女の子。



「うそっ、バレてる…!?」


「いつも愛を叫んでるから、たぶん生徒のほとんどが知ってるんじゃないかな」



愛を叫んでる……。

あ、そういえば球技大会での鉄棒は本当に校内新聞に載っちゃったっけ。


【逆上がりに命を懸ける謎の生徒、現る……!!】なんて見出しで、ぜひ新聞部さんには掲載料を貰いたいものだ。