あの放課後、先生と初恋。





「この前は落合先輩とのキッスが見たかった……!!」


「……………」


「あっ、間違えた!えっとっ、落合先輩のことで話があって…!」


「……奏がどうかしたのか」



ごめんなさい、先輩。
黙っておくことができそうにない。


先輩はこの結果を心から嬉しがって満足したのかもしれないけれど、今だって結局は学校に戻ってるんだから。


あんなのもう放っておけばいーじゃんってわたしは思うよ。

でもそうしないのは、そっちにも心残りがあるからじゃないですか…?



「コンクールメンバー、外されたんです」


「……え?」


「あっ、でもこれはソーマ先輩を責めているわけでもなくて…!ただ事実として……落合先輩はソーマ先輩の応援を選んで、先生がメンバーから外したんです。
落合先輩はずっと先生に楯突いてまでソーマ先輩の応援に行くって曲げなくてっ、それでっ、それで……あ!」



おおお野球部、足すっごい速い……!!

数秒もしないうちに背中さえ見えなくなった。


皆さん目に焼きつけてください、あれが全力疾走です。


愛する女のために走る男の背中なのだ。