……いるかな、ソーマ先輩。
でもいいのかな声かけちゃって。
甲子園おめでとうございます、じゃないからわたしが言いたいこと。
「だからそこは通行の邪魔だ」
「っ!」
今日の決勝にも応援を引き連れて同行していた、遥人くん。
サッカー部の応援も混ざって吹奏楽部もダンス部も盛り上がって、みんなで掴んだ優勝だと野球部たちは言っていた。
「…先生、やっぱ黙ってないとダメかなあ?」
「……なにか言いたいことがあんのか」
「…うん。先輩のためにも、言いたい」
なんとなく察してくれたらしい。
前に教室で少しだけ相談した内容を。
「ソーマ先輩!!どちらですか!!」
「……俺、だけど」
球場前で保護者たちと喜びを分かち合うなか、ソーマ先輩はわたしに呼ばれて困惑しながらも出てくる。
先生は「言わなかったらそれはずっと後悔するかもな」と言ってくれた。
つまり言ってこいと、背中を押してくれたのだ。



