「だからにいなには、なにがあったとしても心を強く持って欲しかった。…過去のあたしとちょっと似てるから」
「……先輩、」
「ハッキリ言って和久井先生は初心者には厳しい。仲間としてすら扱ってくれない。…だからだろうね、先生もたぶん……あたしのことを認めてなんかいなかったんだと思う」
「そんなことっ、だって先輩のことを認めてなかったらパートリーダーにもしないと思います…!」
「そんなことあるんだよ」と、先輩は遮ってくる。
パートリーダーを決めるのは先生じゃなく生徒たちだという。
「2年でホルンの和久井 仁美(わくい ひとみ)、いるでしょ?」
わくい、ひとみ……。
名前を知っている程度でクラスもパートも違うし、個人的に関わったことはないけれど存在感がある人だとは毎回思う。
ホルンは吹奏楽でもいちばん難しい楽器だと言われているが、3年生は5人のホルン演奏者がいる。
コンクールでは4人がメンバーに振り分けられ、たしかその1人に入っていたような…。



