「奏、なんかあったんだろ」
「…先生に、怒られちゃって。ソーマのこと考えてたら……ミスったの」
「…なんだよそれ、奏らしくないぞ。でも俺だって…いつもおまえのこと考えてるよ」
ちがうよ、ソーマ先輩。
ちがうの、そんなことじゃないの。
外されちゃったんだよ、落合先輩は最後の予選メンバーを。
野球で言うならレギュラー?
あんなにも淡々と外されちゃってまで、彼女はソーマ先輩を選んだんです。
「…やべ。そろそろ誰か来そう」
「…うん」
「寮だし、門限あるんだよな俺」
「……うん」
「…連れ込むか、もう」
ごめんなさい、もう来てます。
ここにいます覗き見犯が。
でもなんかすごい展開になってるから………もうちょっと見たいかも。
「ダメに決まってる。…バカ」
「…甲子園いったら?」
「……いい、よ」
「…ん」
そこまでを見届けて、わたしは教室にハルトを置き去りだったことに気づいて戻った。
本物の遥人くんが待っているとは、知らずに。



