あの放課後、先生と初恋。





「奏(かなで)…?なにやってんだよ、こんなところで」



そうだ、落合先輩の名前は楽器を演奏するためにあるような名前なのだ。


コンクールメンバー以外の生徒は19時が完全下校でも、メンバーは21時まで部活だった。

普通であれば19時で帰っているはずのわたしがまだ学校に残っていたのは、落合先輩のことを考えすぎて待ち呆けてしまったからだ。


先輩が人目を盗んで向かった先は、野球部の部室裏。



「…ちょっと待ってろ、俺もすぐ準備してく───、………奏?」



大きな野球部さんの胸、飛びつくように落合先輩がぽすんっと埋まった。



「…汗、すごいぞ俺」


「…っ、行ってよ、ぜったい甲子園……っ」


「……行くよ。ぜったい」



わたしの角度からはちょうど見えた。

涙を流す落合先輩と、そんな彼女に腕を回す野球部先輩が。


……………青春、すごい。


見ているだけでドキドキしてくる。

落合先輩はわたしと1歳しか変わらないというのに、ずっとずっと大人にも見えちゃう。