《たくさんのお惚気話が聞けたところで、今大会に向けて日本だけでなく世界中のファンの皆さんにメッセージをお願いします!》
《はい、最高のチームで日本を必ず勝利に導くと約束します。ぜひたくさんの応援をよろしくお願いします》
《では最後に、彼女さんへのメッセージを!》
《ええ、結構グイグイ来ますね。そうだな…、今回のワールドトーナメントで必ずメダルと───指輪をプレゼントするから楽しみにしていて。愛してるよにいな、…と》
《えっ!!彼女さんはにいなさんと言うんですね…!?それはつまり…!?》
《えっと、まあ、そのつまりです》
テレビ前できゃあきゃあと少女のような反応をしている妻は、なんとなく誰かに重なっても見える。
微笑みながらも俺は妊婦の妻をそこまで動かせたくはないため、自分でブラックコーヒーを注いで、ひとくち飲んだ。
《あっ、待ってください、これネタバレになりますよね…?あの、できれば全カットで》
《ふふ、それは優しくないうちのディレクターたちにお願いしてくださいね~。とのことでっ、未来を担う黒崎 然選手のインタビューでした!》
俺のなかの彼女は高校生で止まっている。
幸せになれよと、夢のなかでせめて言えば良かっただろうか。
これは妻にも言えない思い出だ。
あの放課後にあった、初恋だけは───。



