あのね、先生。
空がすごく青かったとか。
寄り道して食べたクレープがめちゃくちゃ美味しかったとか、たまたまレジでお会計が777円だったとか。
テレビ番組で大笑いしたとか、駅でおばあさんの荷物を持ってあげたとか。
繰り返す毎日のなかでちょっとした幸せを見つけたとき、まず知らせたい人は先生だった。
わたしの高校生活には、必ず先生がいたよ。
あの放課後にしか味わえなかった幸せと、あの放課後にしかなかった恋。
ドキドキして、ワクワクして、小さなことでも涙があふれて、勝手に想像しては期待して。
これからどんどん大人になっていく毎日で、その思い出はもっともっと優しいものに変わっていくんだ。
叶うだけが恋じゃないんだよ。
叶わないものは恋とは言えないなんて、そんなことない。
わたしは、恋をしていた。
めいっぱい、精いっぱい、恋をしていた。
わたしに初めての恋を教えてくれたひとは、手が届きそうで届かなかった、先生でした。



