ハルトって名前なんだよ、然くん。
あの楽器ね、かつてのわたしは大好きな人の名前を付けたの。
ずっと一緒にいたいなって意味を込めて。
然くんにとってはそんなの、ぜったい嫌なはずなのに。
どうしてそこまでわたしのために一生懸命になってくれるの…?
わたし以上にハルトを、あの気持ちを、あの放課後を大切にしてくれるのは、いつだって然くんだった。
「あっ、皆木先輩…!!然を止めてください!!こいつマジで和久井先輩を殴ろうとしたんですよ…!!」
「……然…くん」
「おい然…!!皆木先輩も泣いてるぞ…!!」
涙が止まらなかった。
ぐちゃぐちゃになった気持ちは、やめてって気持ちと、止まってって気持ちと、嬉しいって気持ちで。
わたしのためにここまで怒ってくれて、ここまで必死になってくれる人なんか居ないと思ってた。
ここでハッキリした。
わたしはこの子に───間違いなく惹かれている。



