けれどその頑張りを、恨む人間たちもいる。
「にいな……、これ…、ハルト、だよね…?」
「………うん」
「どうしてこんなことに……っ」
────歪んだベル、スライド菅が折れ曲がったトロンボーンは、間違いなくわたしのものだった。
いつもどおり教室に置いていた相棒が見当たらなかった放課後。
やっと見つけたと思えば……誰かの手によってボロボロにされていた。
「先生に言いに行こうっ、こんなの誰かの嫌がらせに決まってる…!!」
「心菜は……練習に戻って」
「でも…っ」
「いいから。…部長なんだよ、心菜は。全国だってもうすぐだよ」
唇を噛み締めた部長はわたしを置いて、グラウンド端のゴミ捨て場を出てゆく。
こういったこと、もうないと思ってた。
調子に乗るとか浮かれるとか、そんなんじゃなくて。
ただ吹奏楽部の気持ちはこんなくだらないことを相手にしないくらい1つになっていたから。
吹部の人間の仕業じゃない───これだけは確実だった。



