1年生の天才肌に鼻で笑われて、心がポッキリ折れた。
お父さんがいなくて寂しいこともたくさんあった。
「でも……ここが大きな分岐点だったよねって、ここを乗り越えたんだわたしはって、いつか自信を持って笑顔で振り返ることができるように。そんなふうに、たぶんわたしは今頑張っているんだと思います」
ごめんなさい、綾部先生。
わたしは別に金賞が取りたいを目標にはしていないんだ。
目指す自分像があって、そこに行くまでの通過点のひとつに金賞があるだけ。
「…そうか。なら続けろ」
綾部先生は意外にも納得したような顔をして、穏やかで厳しくわたしの指導に向き合ってくれた。
もしメンバーにはなれなくても。
選ばれなくても。
そうして高校生が終わったとしても。
わたしは今日という日をきっと未来でも後悔しない。
そんなふうに思えるようになったんだ。



