あの放課後、先生と初恋。





なにを思って吹いているんだろう、わたしは。

改めて考えると、そこまで深く考えていなかったかもしれない。


みんなに追い付きたくて、みんなみたいに吹きたくて必死だった。


わたしのスタートはゼロからだったから、まずは1になろう、その次は2って、そうやって今まで楽器を持っていたような気がする。



「なら質問の聞き方を変えるか。皆木は吹奏楽で、なにを得たいんだ?」



賞か?名声か?
それとも出会いか?

綾部先生が幾つか出してくれたものは、正直言ってどれもしっくり来なかった。



「人生の……歩き方、です」


「……ほう」


「この先の人生、たぶんいっぱい辛いことや苦しいことがあると思うから…。今までの人生でもわたしはいっぱいありました」



クラスの子に面と向かって迷惑だから辞めろとまで言われた。


安い楽器だと元顧問だった女に言われ、家庭環境さえ馬鹿にされた。

仲間だと思っていた後輩たちに陰で笑われていた。


大好きだったひとに気持ちすら伝えられないで、切り捨てられてあっけなく振られた。