「だってにいなはさ、ぜんぶを大切にできる子じゃん」
「……ぜんぶ…」
「そう。イッチーを好きだった思い出も、その子と付き合ってる今も。ぜんぶひっくるめて花丸満点にできる子でしょ?」
大好きだった放課後も。
宝物のツーショットも。
体育館でのヒミツ、自販機、台風の日。
初めて泣いた日、抱きしめてくれた思い出だって。
「きっとそれをさ、…イッチーも選んだんだよ」
選んだ…。
ストンっと胸に優しい何かが落ちてきた。
「どこかの世の中には、先生との恋が叶っちゃう子はいるかもね。でも……それはその子が選んだ恋であって、にいなが選んだ恋はこれ。…それでいいんだと思うよあたし」
ごめんね然くん。
この涙だけは然くんには見せたくないから、ここで泣くことにする。
でも今日、帰ったらいちばんに然くんに会いたい。
然くんにいちばんにいろんなことを話したいよ。
これがわたしが選んだ恋なんだよ、って───。



