いっぱい笑ってくれるようになった。
わたしもいっぱい笑えるようになった。
繋いだ手をぷらんぷらん揺らしながら、家が近づくと足運びを遅くさせる。
「それで、名波くんもアドバイスしてくれたの。初めてあんなこと言ってくれたから…嬉しかった」
「…たぶん正々堂々と戦いたいんだと思います、そいつも。だからこんなところで諦めてるなって。……ね?」
「うんっ」
影ができて、緊張を感じて構えたところに唇が落ちてくる。
「ん…っ」
こんなにも幸せだなんて知らなかった。
こんなにも大好きになれちゃうことも、知らなかった。
思い出ばかりの自販機前で、然くんはわたしにキスをする。
「っ、…ごめん、もういっかい」
「わっ、…んんっ」
だれか来ちゃう、とか。
だれかに見られちゃう、とか。
こんなにも考えない日が来るなんて、思ってもいなかったね。



