「…でも俺、やっぱり皆木先輩には譲りたくないんでそれ以上は言いませんけど」
東海大会、当日。
「先輩の代わりに全国行かせてあげますんで」と言って背中を向ける、相変わらずで頼もしい後輩を見送った。
「では次に、金賞のなかから特別3校を発表します」
鈴ヶ谷高校はゴールド金賞。
ただ、そこでホッとしていられないのが東海大会だ。
金賞を取った高校のなかから上位3位に入らなければならない。
「第3位、荒木付属女子高等学校」
きゃああああ!と、涙と喜びが混じった声。
呼ばれた名前にどれだけの安心があるのだろう。
わたしはチラリと、綾部先生を見てみる。
……………まさかの口笛を吹くという余裕っぷりだ。
「第2位────私立鈴ヶ谷高等学校」
と、そこでガタッと立ち上がった綾部先生。
選ばれた結果に喜ぶわたしたちとは裏腹、その顧問はどうにもカンカンに怒っているらしく。



