「じゃなかったとしても、奪い返すことも皆木ならできるかもな」
「…っ、できないよ……っ」
やめてよ、可哀想だったからわたしを構ってくれただけのくせに。
家庭環境が似てたからっていう、それだけの理由。
先生も本当は笑ってたんでしょ。
それか、わかってたんでしょ。
わたしなんかブラバンで吹けるが精いっぱいだって。
「………部活…、やめる」
「なんで」
「もう…、吹きたくないから……っ」
好きになる理由はすぐだけど、嫌いになる理由もすぐなんだ。
先生も知ってるはず。
わたしのことを急に避けてきた先生なら、なにかを嫌いになる理由なんか一瞬だってこと。
「怖くなった…、吹くの、怖い…っ」
触りたくない、見たくもない。
先生もそう思ったから、あんなふうに言ってきたんでしょ…?
聞くことすらしてくれなかったもんね。
伝えさせてもくれなかった。
迷惑って、バッサリだ。
怖くなったから、わたしは優しい然くんのほうに行ったんだよ最初は。



