『わたし、先生が現役でサッカーしてるところ見てみたかった』
『……見て、どうする』
『応援する!このハルトといっしょに!』
だから、トロンボーンなんだ。
俺たちを繋いでくれるものは、俺たちの放課後に答えを出してくれるものは、おまえの音だよ。
もしおまえが最後まで吹奏楽部をやり遂げて、俺がそれを見届けることができて。
そしたらきっと叶ってると同じだって、俺は思うことにしてるんだ。
「……にいな」
本当はずっと呼びたかったし、呼んでやりたかった。
おまえに“遥人くん”と呼ばれるのだって、俺は嫌いじゃなかった。
いま、おまえには彼氏がいて。
俺だけの笑顔を滅多に見せなくなって。
それでいいって思う俺がいるし、やるせない俺だっている。
なあ皆木。
おまえはこれから、どんどん大人になっていくよ。
いろんな経験をして、比じゃないくらいもっと辛いこと苦しいことがあるだろうな。
そのなかで俺に抱いていた気持ちは必ず、無意味なものにはならないと思う。
それは俺にとってもだよ。
ただ………応えてやれなくてごめん。
でも、これだけは覚えとけよ。
経験はあるもののまともな付き合いしてこなかった男を初めてこんなにも夢中にさせたのは────おまえだってこと。
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