夫に続いて娘にも何かあったとなると、この母親はどこかで崩れてしまうだろう。
そういう脆さがあるんだよな、娘のほうにも。
『わたし頑張るから、ぜったい結婚しようね先生』
『いつも先生のこと考えてたよ。写真みてね、元気もらってた』
『遥人くん…っ、………すき』
俺がどんなに素っ気なくしたとしても立ち上がって、めげずに何回だって。
あんなに毎日毎日可愛く追いかけられて。
「なんも思わない男なんか───…いねえよ」
そんなの………好きにならないほうがおかしいんだよ。
『やだあ……っ』
『なかったことにされるの…、やだ……っ』
ごめん、ごめんな。
俺だってなかったことになんか、したくねーよ。
俺にとっても大切な気持ちで、大切な思い出のひとつだった。
たくさん考えた。
ぜんぶ捨てる覚悟でおまえの気持ちに応えて、欲しいって思いだけで動いたとして。
────ほんとダセェけど、そんな勇気なかったんだ俺には。



