「ちがう。自信なんかじゃないさ」
プルルルルと、職員室内の電話がどこからか鳴る。
今は俺たちしかいないと分かると、鬱陶しそうな顔をしながら立ち上がる綾部先生。
ガチャッ、ガチャン。
しかし受話器を上げてすぐに戻してしまった男は。
「───自分より上手い奴に負けたくないと思ったとき、なんだよ」
関係のない奴が口を出すなと、ついでにそう言いたいんだろう。
僕には僕のやり方ってもんがある。
生徒を引き出す力は十二分に知っているのだから、足りないのは俺の忍耐力だとでも。
そう言われた、確実に。
「先生っ、一浦先生……!!」
俺がマンションに帰宅したときだった。
駐車場から出てエントランスに向かうと、ちょうど慌てた様子の女性がいた。
皆木にどことなく似ているが、本人が言っていたように彼女はとても父親似だと俺も思う。



