あの放課後、先生と初恋。





いいじゃん、楽譜に番号ふったって。

余計トロンボーンはヘ音記号だから難しいんだよ。

オクターブごとにポジションが変わったりもして、覚えることいっぱいなの。


でもそれで吹けるようになるならいいじゃんか。



「あんなの人間不信になる…。みんなが敵に見えちゃうもん先生」



みんなだって最初はぜったいそうだったはずなのに。

初心忘るべからずって言葉、知らないの。



「あとね、わたしはほとんど吹き真似なんだって。それだったら見学してたほうがいいよ…」


「…諦めるか」


「あきらめ………たく、ない」


「なら、つづけるしかねーな」


「……うん」



初心者セットは実践向きじゃないとか、最初は慣らさないとダメだとか、話してるだけでじわじわ伝わってくる「あ、こいつほとんど理解してないんだろーな」感とか。


あれはなんだ。

つらい、ツライ、辛すぎるってもう……。