「今日、にいな先輩から誘ってもらえて本当に嬉しかったです」
「…うん。お互い忙しくてデートとか…、あまりできないもんね」
「今は、ですけど。たとえば先輩が卒業して、そのあと時間はゆっくり取れると思うから」
「いやいや、今度は然くんがいちばん大事なとき!」
わたしが高校を卒業したあとも当たり前のようにふたりの時間を考えてくれている。
そりゃあ高校のときだけ、なんてわたしも思っていない。
これからもっともっと、わたしは然くん一色になっていくんだろう。
「わたしは大学生とか社会人とか…、逆にすれ違っちゃわないかな…」
「ないです。たぶん会う時間を今以上に大切にできるようになるっていうか、俺ぜったい……今より先輩のことを好きになってる自信しかないです」
え~、ほんとー?うれしい~。
と、照れ隠しもありつついつも通り笑えば。
また若干、わたしに近寄ってきた。
「も、もしかすると然くん、プロの道にスカウトされて海外とか行っちゃうかも…」
「そしたら一緒に連れていきます。たとえ遠距離になったとしても、ネガティブな選択肢だけはないんですよ俺」



