「……にい、な、」
ぎこちなく呼ばれた名前。
かすれた声が、わたしの緊張までをもぐーんと頂上まで運んでいった。
「ちょっとだけ、触っても…いいですか」
「え、さわる、って…?」
「…頬っぺた、とか」
どうしよう。
思わずぎゅっと、目をつむってしまった。
────ふにっ。
「んむっ」
パッと目を開けば、わたしの頬を優しくつまみながら顔を赤くさせる然くんがいた。
「…柔らかすぎですよ、先輩」
「わひゃひひょっ」
「…ん?」
なんか今の顔、ドキッとした……かも。
ん?って、それだけ。
男の子って感じがすごくした。
「……わたしも、さわる」
「うあっ、………ひぇんひゃい」
「あははっ、然くんかわいい」
羨ましいものばっかりだ。
奥二重寄りの瞳の大きな目もそうだし、鼻もシュッとして。
まつ毛も長くて、フェイスラインが整いすぎている。



