「わ…、すごい…、こんなふうになってるんだ……」
初めて入る、男の子の部屋。
じつを言うと昨夜から楽しみで想像を膨らませていた。
グレー色で統一してある部屋は、メダルや賞状が壁に飾られていたり、昔のものだろう写真があったり。
サッカー少年として生きてきた彼の生い立ちが見られる部屋だった。
「あっ、そうだ飲み物とか用意してくるので、好きなところに座っててください」
「う、うん」
テーブルがあって、向かい合わせるようにフロアクッションが置いてある。
とりあえず手前に座って然くんを待った。
────と、棚に飾ってあったひとつのフォトフレームを見つける。
「………これ…、先生……?」
13歳ほどの然くんと肩を組む男性は、たぶんそう。
今より若くて、大学生な雰囲気を感じる。
相変わらずなクールさだ。
写真なんだからもっと穏やかな顔をすればいいのにね。
つい勝手に手に取ってまでも見入ってしまって、カタンとした物音にすら気づけなかった。



