「そっか、合宿が始まるんですね」
「うん。走ったりして大変だけど、すごく楽しいよ!」
「じゃあ…、電話とかは控えたほうがいいですね」
「あ、うん。…そうだね」
ちょっと寂しいかも。
いつも決まった時間になると来るかな?来るかな?って待ちわびて、お互いに切るタイミングを見失う電話。
「わっ!然くん…?」
「…寂しそうな顔、してたので」
バス停がもう少しで見えてくる手前、陰になる建物のそばまで連れられて抱きしめられた何回目。
すりっと頬を寄せて、わたしに甘えたいがための言い訳みたいだ。
思わずクスッと笑えば、もっともっと甘えてくる。
「…然くん、合宿が終わった次の日って…、部活かな…?」
「……いや、ちょうど俺は休みだった気がします」
「わたしもお休みだから……どこか行く?」
「いいんですか?でも、合宿明けで疲れてるんじゃ…」
とまで言いかけたものの、「行きたいです」と正直に伝えてきた。



