「皆木先輩っ、皆木先輩…!どういうことですか!?」
「黒崎先輩と付き合ってるんですか…!?」
「にいな、でもにいなの好きな人ってさ…!ねえっ」
…………やばい。
とりあえず身体を離してからの、「逃げよ!!」と。
わたしが背負っていた楽器を代わりに背負ってくれて、然くんはわたしと一緒に走る。
「…ごめんなさい、かなり大胆なことしました」
「う、うん…、どうしよう……、スマホが鳴りやまないぜ」
「…………」
なんとか逃げてはきたものの、ブーブーと、仲のいい子たちとのグループチャットが鳴りすぎている。
聞こえないふりでいいかな、今は。
「……先輩、」
「っ、へへ、あは、……へへへ」
「ふっ、はい」
なんか分かんないけど笑っておこう。
然くんも合わせてくれてるし、緊張をほぐ
すためにも。
けれど、今度はゆっくりと包み込まれてしまった。



