「然っ、このあとラーメン!!」
「ごめん。俺むり」
「おまえ最近付き合い悪すぎだって!行こーぜ!奢るからっ」
「なあ!おまえ彼女できたんだろ!そうそう皆木先輩っ、付き合ってんだろ?」
試合に備えて大人しく帰れっつーんだよ。
決勝だぞ、然以外は応援だとしても。
ただ部室から出てくる男子高校生たちが放った名前に、クリップボードを確認していた俺の視線は一点で止まった。
「付き合ってない。…まだ」
「まだ!?予定ってことかよ…!イケメンなエースはやっぱ言うことちげえよな!!」
「じゃあそういうことだから」
そんな然を呼び止めたのは俺だった。
こいつならと思えるからこそ、俺は言ったんだ。
「………明日、頼むぞ」
「…はい」
皆木を、頼むぞ。
本音を隠して、試合を建前に置く。
今回の決勝には吹奏楽部も応援をしてくれるようで、そこには気分転換として3年も参加させると顧問の男は言っていたか。
けれど今回、彼女の音が応援する存在は俺ではないのだろう。
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