「あなたって昔からそう。なにかあるとすぐそうやって態度に出るんだから」
数日前、泣かせたくはなかった女子生徒を泣かせた。
放課後の教室、
俺が好きだった時間だ。
いつも一生懸命な姿を見られる、俺の特権のようなものだった。
「…遥人。あたしたち、やり直してみない?」
「……………」
「あの頃はあたしも子供だった。でもやっぱり、あたしには遥人しかいないのよ」
帰らないでと止めてくるように、手入れされた爪が肩に乗る。
香水は当時から変わっていないようで、実際俺はその匂いがとても嫌いだった。
「今フリーなんでしょう?同じ仕事だから苦労も分かるだろうし、今度こそうまくやれると思うの」
「なら次は、俺が浮気するかもな」
「………まだ怒っているの?」
他に男を作って浮気した言い訳はなんだっただろうか。
思い出せないほど、俺にとってはすでにどうでもいい思い出だった。



