「…教師騙すとはいい度胸してんな」
「うん、ごめん先生」
俺からって言ったほうが先生も来てくれると思うので、俺が今日の放課後に呼び出しておきます───という、彼からのメッセージ。
最低な先輩だ。
わたしは然くんをどれだけ傷つければ気が済むんだろう。
でもそのぶん、このあとたくさん傷つくのはわたしだろうから。
「先生、サッカー部3回戦突破したって聞いたよ」
「…ああ」
「すごいね。今年こそインターハイだね」
この教室は、去年のわたしの教室だった。
今は2年生に上がった然くんの教室で、ちょうど良かったんだ。
海が眺められる窓側がお気に入りだった。
先生はよく、ここに残って個人練習をしていたわたしの姿を見にきてくれたよね。
「わたしも部活、がんばってるよ。新しい後輩に抜かされちゃいそうだけどね…、へへ。なんとか」
「…そ」



