それは初めてわたしからかけた電話。
2コール目で出て、食いぎみに『俺です!』と言われて笑ってしまう。
『俺も部活や私生活でいろいろあったとき、必ずナオからパワーをもらうんです』
また会いたいな…。
ナオくんは何が好きだろう。
今度はお礼に、ナオくんが好きなお菓子とかをあげたい。
『でも俺は、にいな先輩にとってのそんな存在に……なりたいって思ってます』
「……ごめんね、さっきは。ひどいこと言った…」
『大丈夫です。…逆に嬉しかったので』
「うれしかった…?」
『はい。泣いてくれて嬉しかったです。周りには見せないような先輩の顔、俺はたくさん見たいから』
この子とのヒミツが、この先も増えていくような気がした。
然くんにしか見せられない顔、然くんだけが知っている顔。
そんなものが増えていく気がしたんだ。



