足元、4歳の男の子が抱きついてくる。
一人っ子のわたしは、幼い子供との接点はまったくと言っていいほどなかった。
どんな反応をしてあげればいいのか分からないでいると、もう1度ナオくんの脇の下に手を入れて持ち上げた然くん。
そして幼い弟の陰に隠れるようにコソコソと。
「ナオ、おねーちゃんに泣かないでって」
「なかないで?」
「……だ、大好きって、」
「だいすき!」
「あんたさあ……、弟に言わせてどーすんのよ」
然くんの優しさに救われた日だった。
ナオくんともまた会う約束をして、その日は送ってもらって帰宅。
ほんの少しだけ。
然くんに構ってもらえなくなったらわたしは寂しいだろうなと、思った。
「然くんありがとう。わたし、頑張る」
落ち着いた夜、泣いてしまったことが恥ずかしくなりながら電話をかけた。



