好き、好きって。
言われるたびに申し訳なくなって、謝りたくなる。
「おー、抱きしめてやれーーー」
「おいバカ!やめろっておまえ!」
「ぎゃははっ!!」
バスケ部あたりの声が、わたしたちを茶化してくる。
言われなくとも何度も何度もわたしの身体に回そうとして、耐えるように引っ込める影がちらついていた。
「…先輩、ちょっと来てください」
そう言って、えずくほどに泣いていたわたしの手を引いた然くん。
どこに行くんだろうと思いながらも、引かれるままに歩く。
然くんもわたしが先生から避けられていること、きっと知っている。
唯ちゃんが気づいたくらいなんだから、唯ちゃん以上にわたしのことを見てくれる君は分かってるはずだよね。
「あのさ、ごめん、迎えに来て欲しいんだけど。それとぜったいナオを連れてきて」
立ち止まった場所で、然くんは電話をかけた。
学校から離れた場所ならどこでも良かったんだと思う。



