「コンクールメンバー、今のわたしじゃ入れられないって…、顧問からも言われちゃって……っ」
羨ましくなるよ。
エースストライカーで、試合では必ずシュートを決めると噂されてるきみが。
ぜったい優勝するって、自信たっぷりに言うことができる然くんが。
わたしにはそんなこと言えないもん。
「趣味でやって、家が近いから鈴高を選んだだけの子に抜かされちゃってるの…っ、ダサいでしょ、わたし……っ」
後輩の前で涙を流して。
なんにも悪くない男の子に八つ当たりみたいなことをして、それでも優しくしてくれる然くんに甘えて。
ダサすぎるよ、わたし。
「こんなの、だよ…、こんなっ、こんなの、なの…っ、わたしってっ」
「…うん」
「いつも…ちゃんとできてなんか、ない…っ、逃げてばっかり……っ」
「…うん」
次から次に流れる涙を、屈むようにひとつひとつ拾ってくれる。
慣れていない優しさと力加減がもっともっとわたしを泣かせてきた。
「俺は、それでも頑張るにいな先輩を好きになったんです」
「ほんとはっ、もうやだって、思うときばっかりだもん…っ」
「…はい。そんな先輩も好きだよ」



