知らなかった。
わたしが眠ったあともずっと、お腹を優しく叩いてくれていたことなんて。
「─────…、ん………、あ、さ…?」
チュンチュンと聞こえる小鳥たちの声より前に起きた朝。
すごくすごく心地がよくて幸せで、こんなにも目覚めのいい朝は初めてだったから。
あったかい……。
なんかすごい安心する……。
「…………なに……、この素晴らしい夢…」
隣にイケメンの寝顔があるんですけど…。
しかもそれはわたしが大好きで大好きで、常日頃からこんな日が来ないかと夢みていた寝顔だ。
わたしの身体に巻き付いている腕は、その彼のものだった。
つまり、いっしょにベッドでくっついて寝ているという天国。
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”………」
幸せすぎて吠えた。
長いまつげがピクリと動いて、朝特有の甘い二重ラインが開く。
おはようございます、大好きな遥人くん。



