「……亡くなってるのか、」
「…うん。わたしが3歳のときに病気でね」
まだ物心がついていなかったから、覚えてないんだお父さんのこと。
先生はわたしの家が母子家庭ということはなんとなく察していたらしいが、まさか父親を病気で亡くているとは思っていなかったんだろう。
「…俺も母子家庭で育ったんだ」
「え、そうなの…?」
「ああ。俺の場合は両親の離婚だったけど……気持ちは分かるよ」
だからわたしを気にかけてくれる、とは、思いたくない。
わたしが母子家庭で可哀想だから優しくしてくれる、だなんて。
「でもわたし、ぜんぜん寂しくないよ?お母さんのこと大好きだしっ、田舎のおじいちゃんもいるし!」
先生は微笑みながら、わたしのお父さんの前でゆっくりと手を合わせた。



